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2007年6月

無題

ホイッスルが鳴った。
スタジアムの階段を足早に上がるのも慣れたものだ。
季節はずれの桜並木は一仕事を終えた褒美を貰っている。
緑のにおいを感じる頃にはフットボールの余韻も消えている。

元チームメイトのプレーを見る事は唯一の楽しみであった。
でも、気付いた時には行く事だけが義務になっていた。

地下鉄の駅を出てすぐだった。取り囲まれている。
若い男5~6人。ガムを噛んだ大柄な男がリーダーなのだろう。
「あのさー。電車賃が足りないんだけど貸してくんない?」
今時、陳腐な言い方だ。
無性に腹が立ってくる。GKとの1対1をはずしたさっきのFWが脳裏に浮かんで来る。
何も言わず渾身のシュートを決めるようにガムの男を蹴りあげた。

呆気なくかわされた。
空振りした体勢は倒れるしかない。
あとは蹴り出される無数の足からダメージを減らそうと身体を丸める。
どれだけ時間が経ったのかわからなかった。
鉛色の空が見えるだけ。
辺りには嘔吐物の臭いが漂っている。腹と腕が熱い。背中は何も感じない。あるのかどうかすら感じない。
ようやく若い男の集団に蹴られた事を思い出した。

確かに男の足を捕らえた感触は無かった。足の振りは悪くなかった筈なのに。

15年前の日本選手権が最後だった。
20mのインステップシュートは重力に逆らうように左右に揺れ落ちた。
ボールに全く回転が掛からない無回転シュート。
蹴った本人も何処に行くのか分からないそんなボールが自分に合っていた。

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ひとり

ひとりで生きているなんて思わないけど
ひとりぼっちになってしまう。

わがまま通せば離れていくのに抑えきれない。

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グランド・ゼロ

踊ってみても 歌ってみても 
戻るところは何処なの?
微睡んだって 微笑んだって
彷徨うのは何故なの?

叫んでみせて うなだれてみせて
悲しいふりをする事なんて

埃まみれで 偽善者ぶって
歩くのは何故なの?
探したって 見つからないのに
歩き続けたのは何故?

怒ってみせて 泣いてみせて
同情買ってくれよって

埃を吸ったのか? 焦げた臭いをかいだのか?
激しい音を聴いたのかい?
身体に響いてきたの? 心に響いたの?
つまんない言葉は要らないよ!!

踊れなくても 歌えなくても
今まで通りに過ごそうよ
大きい力に 巻き込まれないよう
スペースを作っていこう

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